庚 kou
陽の金の質
自然界にたとえると岩石・鉄鉱石
はたらきを求める心
粗さ 硬さ 重さ は 鍛錬と研磨で
清く澄み切った機能美となる
終わるものを始末し 始まるものを生かす
世に変化をもたらす動の力
去年の庚金
固執・抵抗・悪あがき.. 自分に「重し」をしていたのは自分なのだと、深さに身を委ね、静かに沈んでいくことを体験したとき。社会の深淵・精神の深淵・肉体の深淵 に身が届いているけれど、どこに心を置いているわけでもなく野放しにさせているから、面倒ごとであろうが、直感だろうが、利益になろうがなるまいが、「打たれたら即座に動く」という軽快さがありました。それは攻撃でも守備でもありません。ドラが打たれたら即音が出るように、変化に応じて動くだけ。そうすると楽しくなってくる。停滞することは、庚にとって過酷な時間です。動けなさが続いていたから、なおのこと体が軽く感じる。今はなんのことか無自覚かもしれませんが、種は撒かれました。
庚にとって癸卯年
2023年 庚金 (こうきん) のテーマは「混沌から錬金する」です。
今年の干支は《癸卯》。癸とは、雨や霧、沢の水といった、小さな水のこと。冷えた金属が結露する姿。岩石が湧水を走らせる姿。岩石(金属)と水は切っても切り離せない、昔の人はこれを「金気が水を生む」と観ています。どうやったって、岩石そのものが水滴に化けるわけがないのですが、あたかも金がふつふつと汗をかき水気を生んでいるようにみえる、それは錬金術のようです。2023年の庚金は自分の想いを錬金して漏らしていこうとします。ですが、今年は素材である「想い」が 硬化の段階には入っていないところもあり、コロコロと変転していくため、言ってること・表現することが 他者からすれば 矛盾や二項対立を含んでいるように見えるのです。
わからずにいる
庚金の人が自分自身の想いを募らせて言葉や作品に込めていく工程は、たった一言、たったひと筆、たった一皿 という結果になっても まとまった時間を要します。純度が高いものを庚金はじっくり時間をかけて抽出していくんですね。表れとしてはけっこう冷ややかなんだけれど、その中に熱や汗の形跡を感じる。「こんなん誰だってできる」そう見えて本質的には真似できないでしょう。それが庚金の自己表現というもの。そんな感じで 2023年のあなたは感受性が高くなっていて、現象に共振し、それについて思索し、表現を試みるのですが.. 心がかなり「X」みを帯びているんですね。今日が10でも明日には1になっているかもしれない。未知数なんです。庚金は「義」の人ですから自分が信じる道理に従ってやっていきたい。道理って「白か黒か、どっちか一本!」みたいなイメージがあるかもしれませんが、新しく芽生えた道理の種は「白」にもYESという日があるし「黒」にもYESという日があって、白も黒もバランスよく「そうだよね」と同居させる体験が必要らしいのです。黒を知らずして初めから「絶対白」というこだわりで本当の白はわかるでしょうか。「わからない」という状況は庚金には居た堪れないでしょうが、この一年は「混沌」と「変化」を体験するときです。なので「こう思う」と逐一オープンにすると、まわりのひとは結構振り回されます(笑) でも逐一 匂わせたいんです。この時期は周りの人にも自分の気持ちを「わかってほしい!」
尖っていく
庚の方は「道理に従いたい」とさきほど書きましたが、2023年はそれを外にも強く求めていく傾向があります。なんといいますか「物事の然るべき道は 目の前の全てに行き渡って然り」みたいな。2023年の気は、(あなたにとってみれば) あなたという岩石が露を生んでいるという自然な流れにあるんですよ。だから目の前のことは当然完全である、と疑わないし望んでいる。ちょっぴり神経過敏になっていて、大前提が完璧なのだから完璧じゃないところに気がついてしまうわけです。世界を自分色にしちゃいたい感ある。自分の畑だけじゃなく他所の畑にもこだわっていく。でも庚金は理性的でもあるので不満をすぐに現そうとはしないと思います。「?」と違和感が積もって積もって、「あ、これ不快ですわ」とわかっていく。そして環境に要求していくんです。このように コダワリが強くなっていて、そのコダワリを突き詰めるほど平均的な感覚からは浮いていくのです。「平均的な感覚から浮く」ことは他者から距離をとられることも多々ありながら、「強く求められることもある」ということです。珍しい!面白い!あなたがほしいと。
しごと
持続力はないけれど、趣味・学習・家のこと、過去にやり残していた案件もひっくるめて複数のことを手がけていくような、ハードスケジュールを淡々とこなしていくエネルギーの中にあります。この時期の庚金はお天気屋さんで、しかも名案がポンポンと浮かんできやすいです。前言撤回を恥じて誤魔化すのでは信頼も逃げかねません。信じる・信じてもらえることは庚金(岩石・斧) にとっての樹木です。樹木がなくなったら、庚金はなにに働きかければいいでしょうか。ですのでビジネスの色決めに関わったり、言ったらもう撤回しがたいことほど「形がはっきりするまではオープンにしない」静観の時間も大切になるかと思います。1年という経過の中であなたの道や理は 進化退化変化を繰り返し、最終的に「ニュアンスこんな感じ?」と固まってきます。最初から「絶対こうだ!」ではなしに、対極の要素をとりいれるとか、気まぐれが遊べる部分をつくっておくなど。そうするとあなた自身も、想いの変化と表現を楽しみやすいのです。
かんけい
繊細になっているので、ちょっとのことが気になってしまうかもしれません。この時期、暗闇で体育座りしてシャットダウンするような、おこもりの時間が大切です。ネガティブな気持ちに陥っても ずっと同じということはなくて、感情を闇に委ねておくと自ずと心変わりをします。本来、心はそういうものですが、ことしは推移が速い。この状態は周りから見れば情緒不安定なんですがね。完全さを親しい人にも要求したくなるので、まわりはあなたといるとやや緊迫するかもしれません。過去のことをふと思い出して口論するなんてことも。しかし心のどこかに「白にも黒にもYES」というニュアンスがあるので、想いを伝えたあとも「あー・・たしかにそういう要素もあるかも」と相手を全否定しきれない感じなんです。