ki/tsuchinoto

基本性格
自然界では人の生活の場 田園・大地
滋味で 温かく 庶民的な世界
どんなくそでも肥やしに変える
万物をつなぎ 死を生に還す力
人と密接につながるゆえに
極楽も穢土も心得る




季節観

〈辰〉という年は、夏にむけて太陽がいよいよ力を増してくる季節で、万物の「伸びよう!」とする力が最も盛大になる。己は畑のこと。人間の生活の場のこと。大きく言えばこの大地のこと。生と死の循環の舞台が〈己〉というエレメントである。多くの夏野菜はこの時期に種まきや苗植えをほどこされ大地に定着すると。2024年、己は木気を懐に迎え、活発になった樹木や草花の根、微生物に耕される。小さな生き物を受け止め、そして自分も彼らにほぐされる。物事をいい塩梅で進めていけるとき。



❦ 占 ❦


太陽を借りる

人間世界には色とりどりの考えや思想があるが、己という人は、種々多様な人の気持ちや言い分を「うん、言いたいことはわかる。」と理解でき、市井の人情を大切にするホットな干だ。そんな気質がありながら、昨年 2023年は水気によってぬかるみ 物事が伝播しやすい状況にあった。ほんの一滴の毒に自分どころか周囲も大きな影響をこうむったり、悲劇のように振る舞うことで人の気を集めようとしたり。あるいは体を崩してケアされることによって 誰かの愛に気づいたり、病んでいる方々の「感じ」と無意識に同調してしまうなど。エンパスという性質があるけれど、一時的にそれに近しい状態でメンタルに流動的(不安定)な感じがあったかもしれない。心身のコンディションを崩していたのなら徐々に回復の兆しがある。ポイントは陽の光をたっぷり浴びること。カーテンを開けて、産まれたての陽光を部屋にとりこむ。ぐずぐずになった己には太陽が無料で試せる健全な抗鬱剤となる。


土・場・塾

2024年の己はまるで村の片隅に暮らしている長老のようだ。その長老はいまでこそ人の善い爺さんだが、若かりし頃は武芸に長けていた。幼い頃から鳥の声を理解し 熊の温もりで昼寝をし、天狗と試合した際に岩石を真っ二つにした。ある時から剣を鍬(くわ)に替えて、今では自給自足の生活を営んでいる。哲学者、武芸者、農者、その智慧を授かろうと各分野から探求者が集まるようになり、それは「塾」と呼ばれ親しまれている。

・・・己にとって本領発揮の2025年を目前に、割と、静かで穏やかな時間が訪れる。それは悠々自適とは違う。周囲によって動かされている感じがある。昨年よりやるべきこと、が増えるかもしれないが ことしは力技でないから楽だ。体力ではなくて、これまでの 経験・知恵・引き算 をつかって巧妙に物事を進めたり、人に知恵を授けたり、人々や動植物を慈しむ姿がある。爺さんに「塾長」という役割があるように、あなたにも肩書きや新たな役目役割、帰属する場所が生まれるかもしれない。

長年つづいた営みがついに成熟し、だれかに伝授できるようになったとか、その経験にあやかろうと自然と人が身を寄せるようなことも。頼られることによって、喜んで動いていく。変わったことや大きなことを成し遂げなくてもいい、ことしは毎日毎日、なにかしらのキリッとした役目(しごと)を重ねていく。そうすると来年以降に見える景色が変わってくるだろう。全体像がわからなかったけれど高台に登ってみたら、ああこうなっていたんだ、と眺めることができて「それでどうする?」と次に繋げられるような。これまで孤独を感じていた人も「ひとりではない」ことを実感するだろう。共に進む仲間に恵まれたり、世間との接点を見つけたり。

生き物を下支えする畑のように 2024年の己は主役ではなく一歩引いた立場にあろうとする。自分のカラーを主張するのでなく、ただ場をつくって、自分は楽しむ人たちの世話をする。ここ2年、ジトっとした自己顕示欲で悶々していた人も、盛りの人に目立ってもらえばそれでいい、彼らを泳がせ サポートする立場にまわることで却って、プライドが落ち着くことも。陰ながら「毎日なにかしらやることがある」張りを実感し、生きるものを育み、慈しみ、役立っていると感じることに2024年の喜びがある。


あるもの ないもの

冒頭の爺さんは、武芸者として衰えていくパワーにしがみつくのでなく、ないものはないとして、経験の堆積を活用している。「ある」と「ない」をありのままに受け入れているから力みがない。4月の庭先で「こんなところに紫蘇の種子がこぼれていたとは!」と土中にどんな生き物や植物が眠っていたのか明らかになってくるように、己は、能力・体力・環境・お金・仲間・愛 … 自分の中にすでに「在るもの」をリアルにみて、それらを受容する。その中には 2018年頃に終わりをむかえたものが残した置き土産に出会うこともあって、懐かしく思う。在るものを受容するとは「ないもの」も同時にみているということで、自分にとって心地よいものばかりでなく、不都合な、たとえば上にあるように崩れた部分・今は閉じている部分も把握する。もう既にわたしが持っているものへの自覚は、「自信」そして身の丈に合った「歩調」をもたらす。


仕事・社会活動

ことしは責任感と自尊心が強くなっている。自分の役割・仕事に尽くす姿がある。「請け負ったのならやり遂げたい」ので、この時期のあなたは大風呂敷を広げることはしないだろう。夢を語らず、取り組んでいる姿や結果をもって静かに体現していく。何かひとつの目的があって自分一人の力ではできそうにないなと自覚すれば、組織の傘下に入ったり、そのベネフィット(ブランド力・財力・ノウハウ) を上手に利用したり、有名人とユニットを組んだりして、いやらしい言い方だと「虎の威を借りる」ことだってできる。なんせ今年は人間関係の力や組織ならではの大規模な資源を活用できるときで転職や就職もスムーズに運びやすい。
収入が多少低かったり落ちたとしても「自分が誇りを持ってできる仕事」を選ぶ傾向にある。あるいは自分が真に誇る仕事を金銭的に支えるために、腰掛け就労をすることもある。

この年は伸び栄える自尊心を抑え込むと自責や妬みというかたちで鬱散するおそれがある。エネルギーの向かう先がないのなら 何かを習得することもこの時期おすすめ。憧れの先生が開講しているワークショップに飛び込むとか、それを身につけることによって自尊心がホクホクするもの、それを身につけている他者にかつて嫉妬したもの。単純だけど、たとえば、語学。「喋れたらかっこいい!」そんなシンプルな下心こそ、着々と進むエネルギー源となる。


人との関わり

まわりを生かして自分が生きる。この時期、行動もせず自分の想いばかりを声高に主張するよりも、ただ黙々と仕事を進め、持ち物や愛をそっと漏らしていく方が、世界と調和しやすい。人や生き物が集まる場所にいくと、その場において自分が「在るべきところ」にすっぽりとはまるような気がする。特に言葉をもたない方 (乳幼児・お年寄り・動物・植物) との無言の意思疎通がスムーズに感じるし彼らとの交流に癒されるとき。あなたの能力にあやかりたい人々が集まってくることがある。あなたに認められることによって、自分が安全な場所にいるような感じがするから。また、憧れの人物や有名人とのコラボが実現するかもしれない。己は、場づくりや人と人をつなぐことが、十干のなかで最も上手い。自分が「この人は。」と目をかけている者同士が化学反応する場を、ラジオパーソナリティ的な立場にあって楽しむようなことも。