消えたいのに消えれない
土の世界で限界を感じる
息がつまる
小さい 弱い
処世術もしらない若い頃の自分よ

この CD に出会ったのは1年前の梅雨
山にある喫茶店にて。
流れていた曲に どうにも心を奪われてしまった。
音楽は、疲れているときにはノイズでしかない。
学生の頃はつねにイヤホンをしていたのに、社会人になってから積極的に聴かなくなってしまった。疲れるのだ。どんな優しい曲でさえ心に障る気がして。こどもが産まれてからなおさら 休息は無音がよかった。
この曲は なんだか心に添ってくれた。
自分のものにして 持ち帰りたいと思った。
次の曲にいってしまう前に サウンドハウンド して手掛かりを探す。
“ 夏の懺悔 ”
Album: Cancellare
Nobuyuki Nakajima
中島ノブユキさんという方の ピアノソロアルバムの中に入っているもの。
Spotify にも YouTube にもピアノソロ版はみあたらなくて、アルバムを取り寄せる。

『夏の懺悔』というタイトルも
アルバムのジャケットの絵も
カンチェラーレというイタリア語 ( to cancel / to erase) も
ただ苦しみでありきるしかない若いわたし そのもので、そしてまた、いまもどこかで息が詰まっている誰かのなのだろう。
堕ちているときに、明るい曲は聴きたくない。
そのまんま低空飛行をすることで微かな光がみえてくる。
アルバム全体は
梅雨の空から漏れるかすかな光のようだ。
思い切ってカフェの店主にCDを購入したことを伝えると「この時期にぴったりだと思って」と仰っていた。
そのとおり 梅雨が明けたころ 店内ではまた別の曲が流れるようになって、1年経って また Cancellare がループする季節がやってきた。
