祖母の家から文章を書いている。
祖母・禮子(れいこ)は、祖父が亡くなった2018年前後から 耳の遠さに拍車がかかり 見えない人と会話をして、家族に攻撃的になっていた。
泊まりにいくたびに 祖母 vs 見えない人のディベートによって、違う階に寝ている私は夜中や明け方にうっすら目覚めるのだった。うるさいと叔父や私の母に叱られ、口論の声も聞こえる。
今回、久しぶりに会った祖母は
とても穏やかな佇まいで
しっとりとソファに座っていて
私や 私の妹の声かけを 1-2回でキャッチしてくれた。
たまに冗談を言いクスクス笑っている。
見えない人は あまりこなくなった。
酒の席で 同居している叔父に尋ねると
・補聴器をメンテナンスして聴こえの調子がいいことがひとつ
・デイサービスが楽しく、というのは彼女は利用者ではなく「お手伝いに行く」ために通っているらしい
じゃあ、アルバイトにいってるわけだ。と私が言うと
叔父は「そうそう」と職員さんが伝える 禮子さん の働きをレモン酎ハイをグラスに注ぎながら語り出す。
叔父も、愛おしそうに禮子の足を撫でている姿があった。
祖母は、きちんとしていて 人付き合いが好きで お茶を淹れ 皿を運び お客さんをもてなす人だ。祖母が畳む洗濯物は、アイロンをかけていないのに手の魔法でアイロンがかかっているのだ。
祖父は、ビールとタバコが大好きで 勤勉で何でも自作し 寡黙なのに 皆から慕われていた。
亡くなったとき「おやじぃいい!」と祭りの衆が集まった。
わたしはそんな陽だまりのような祖父母宅が大好きだ。
正月中は祖父母の血のつながらない「娘 息子」さんがたくさん挨拶にいらしたよ。
▲ 東京旅行の浅草にて。花屋敷(?) のお化け屋敷を感知し発狂する私と 救出する祖母