日干が《丙火》の場合
陽火の一生のエネルギー変化は下の図のようになります。
いつも例題の手垢がつくのは1番の甲や貫索星で 今回は丙を選んでみました。
十二大従星の算出のしくみは この図です。
日干(心)の 視点から その日干の一生、季節の巡りにおける力量を測る時に用います。
丙だったら 子の位置が胎児。
そこから 赤ちゃん → 子ども → 思春期..
と時計回りに進み 亥はあの世です。
五行の、季節における力量 = (占術に利用) 現実における心の強さ
算命学だと十二大従星。
四柱推命だと十二運。
五行は その属する方位を得ると盛んになり
その畏れるところ (剋してくる五行) の位置で力尽きます。
なので
丙が最も力量をもつのは南方火性の〈午〉の季節。
ここがエネルギーの極みなのだから その季節を王とします。
( hint ▶︎ 日干支: 丙午 = 天将星= 帝旺 )
そして
火が畏れるところは水。そこで火の一生が終わり
北方水性の〈亥〉を あの世とします。
丙は陽なので時計まわりでサイクルが進みます。
陰の五行 あれば反時計まわりです。
参考資料
状態 | 五行大義 | 十二大従星 | 丙の場合 | |
胎児 | 胎 | 天報星 | 子 | |
赤ちゃん | 養 | 天印星 | 丑 | |
子ども | 生 | 天貴星 | 寅 | |
少年少女 | 沐浴 | 天恍星 | 卯 | |
青年 | 冠帯 | 天南星 | 辰 | |
壮年 | 臨官 | 天禄星 | 巳 | |
王 | 王 | 天将星 | 午 | |
老人 | 衰 | 天堂星 | 未 | |
病人 | 病 | 天胡星 | 申 | |
死人 | 死 | 天極星 | 酉 | |
入墓 | 葬 | 天庫星 | 戌 | |
あの世 | 受気 | 天馳星 | 亥 |
五行大義巻 第二 「相生を論ず」
単純に、火がピークを迎えるのは 夏・火・南方 であり
その命が最弱になるのは 冬・水・北方
このような見方は 陰陽五行を知らなくても感覚的にわかります。
火は水をかけたらジュっと消えますし
北半球での冬や 北国は 陽光の力が弱いです。
一方、ドラマチックな見方が 中国の五行書にあります。
五行大義巻 第二 「相生を論ず」の章では
干合(結婚) から始まる王相休囚死の流れを語っている箇所があり
これが面白いんです。
その過程を 算命学学習者の私が命学視点で
解釈したものをお伝えしようと
何枚かイラストを描いていましたが
21秒のショートムービーにしてみました。
- 干合 (結婚) at 亥
【原本】丙は女弟の丁を以て壬に妻はす。
【訳】火は水を畏れるので 丙は妹である丁を壬に嫁がせることにした。
Note ・水剋火 ・壬の方位は ほぼ亥 ・壬と丁は干合関係であり木性に変化する
2. 受気・天馳星 at 亥
【原本】壬は火の氣を得。
【訳】壬は火の気を得た。
Note ・結婚=子が生まれる (という古代東洋の常識) ・陽水が陰火の気を得るということは 男女の交わり〜受精着床 を示唆しているのだろう。 (壬水 ─ 男性 ─ 陽 ─ 精液)と(丁火 ─ 女性 ─ 陰 ─ 卵子) ・受気= 受精 = 天馳星/絶 ・『陰(女)と陽(男)が交わって、一を起こすのである』春秋元命苞
3. 胎・天報星 at 子
【原本】故に火は水の卿に胎し
【訳】ゆえに 火は水の郷(北方)で胎(はら)まれ
Note ・『子・陽気が動いて萌え始め、地下に新しい生命が生まれる』釈名 ・天報星は 陰と陽の中間にある状態。出発と終結。中庸。 まだ固まらない何にもなれる状態。
4. 生・天貴星 at 寅
【原本】木中に生じ
【訳】木に生じ
Note ・木生火、と火が燃料を得て勢いを増す ・天貴星(人に例えると5歳くらいの子ども・クレヨンしんちゃん) ・この頃に天・地・人の気が揃い「人」としての人生が始まる
5. 衰え尽きる
【原本】其の方に盛んに、金の位に衰ふ。北方に至りて終わる。
【訳】自らの方位(南)で盛んになり、金で衰える。
そして北方に至って終わるのである。
Note ・五行は循環し続ける ・「丙」はここで力尽きましたが火は土を生じます なので戊が「土は木を畏れるので妹の己を甲に嫁がせ..」と また 1の過程に戻る
ムービーの、嫁ぐが稼ぐに..
「相生を論ず」の項では 陰の五行のプロセスについては
言及されていなかったけれど、
恐らく このようになります。
▼
陰の五行は 息子を畏れる場所に送り出します。
たとえば陰の火性〈丁〉の息子は〈戊〉です。
先ほどと同様に、火は水を畏れるので 癸に戊を送ります。
そして結婚、受胎、と反時計まわりで流れてゆきます。
一生の終いがエネルギーが最も弱い「あの世」で
天馳星という符号なのですが
わたしは学びが浅い時・独学時代は
これにて終了。以上。
だと思っていたんですね。
けれど上にある 十二支図は円。
終わりは始まり。
終わりの中には始まりが
陰の中には 必ず 陽の兆しがあります。
新しい生命の兆しが 起こる季節が 天馳星。
あの世でありながら 新しい命の予感があります。