初期からの読者の方はご存知かと思いますが
2021年から、アドベントカレンダーをつくっています。
アドベントカレンダーとはクリスマスまでのカウントダウンカレンダーのことで、日付をペラっとめくったら隠されていた絵柄がでてきたり、作り手によってはお菓子など 小さな贈り物が入っているものもあります。
カレンダーの存在を知ったのは大学時代で、親友のお母さんが 毎年クリスマスにご実家の札幌からアドベントカレンダーとクリスマスギフトを彼女に贈る話を聞いたことがきっかけでした。
彼女にとっての大学時代は、夜のダーツバーで働いていたりクラブでDJをしていたり、大学の作品講評会も二日酔いでやってきて、私が「ブラックニッカ」とイタズラで耳元で囁くとトイレに駆け込むような日々を送っていた頃でした。
「お母さんからのアドベントカレンダーに1万円が入ってて泣いちゃった」
金額はさだかではありませんが、彼女がクリスマス前にしてお金が底尽きようとしていたときに、救世主のようにお金がカレンダーに入っていたという話でした。
彼女はボンボンでも、甘やかされて育てられたわけでもありません。
芸術肌で遊び心のあるご家庭に生まれて、彼女自身もクリスマスを大切に大切にしていました。
彼女の姿をみて、
子どもが生まれたらアドベントカレンダーをつくろうと密かに思っていたのです。
子どもが 2歳10ヶ月となり
「サンタさん」「クリスマス」をなんとなく認知し始めた2021年から開始しました。
モチーフはすべて家にあるものを。
2歳の彼が日々の生活で馴染んでいるものを。
子どもが生まれて、わたしは水を得た魚のようです。
だって楽しみを贈る楽しみをもたらしてくれたのだから。
2022年はわたしに混乱があって、物事を楽しむ気力がなく、なんとか子どもと一緒に「クリスマスマーケット」をモチーフにしたキャンドルホルダーをつくりました。
はじめてカレンダーを作成した頃に気づいてはいたのですが、この子は「贈られるよりも贈りたい側」・・・つまりプレイヤー側の気質をもっていると察しました。
これは早々に、選手交代になるだろうと。
この年は「一緒に」絵を描いたり千切ったり貼ったりして楽しみました。
ついに今年は選手交代です。(早)
この子が描く絵に、わたしが惚れ込んでいるので
わたし(大人) が描くものより魔法のような運筆をもっているので
表面の絵をまるごとお願いしました。
わたしも幼稚園も、彼に絵を教えたことは一度もありません。
(絵の具の始末の仕方は教えましたが。)
だからこの幼稚園を選びました。
大人を意識しない等身大の絵や運筆は、彼の率直な「ものの見方」が反映されます。
それを壊したくない。
つい、数ヶ月前まで 生き物はすべて、顔らしきものに手と足(棒線) がはえている表現だったのですが。
秋に大分県を旅した時に、宿泊した農家民宿にウズラがいて、オーナーさんのご好意で 彼は小さな両手で 小さなウズラを抱っこしたのです。福音館の『うずらちゃんシリーズ』絵本のファンな彼は大興奮。
そこからです。鳥の絵が鳥のようになったのは。
龍高星らしいなとしみじみ思いました。
鳥の丸い感じとか、繊細でバタつく軟骨とか、クチバシがあるな、とか温度もすべて感じた彼の描くウズラが尊くてならない。
そうだ!
『クリスマスの12日間』というクリスマス民謡の「梨の木にうずら」というフレーズがあることを思い出し、画伯にまたウズラと梨の木を描いてもらうことにしました。
わたしの仕事は彼に内緒で、カレンダーの扉の内側の絵を14日分描くことと、個包の中の小さなプレゼントたちを用意することです。
One the first day of Christmas
my true love sent to me
A partridge in a pear tree.
クリスマスの最初の日
心から愛する人が私に送ってくれた
梨の木のヤマウズラ